大使館が点在し、外国人が行きかう街、麻布十番。
一本道を入ると閑静な住宅地が広がり、そこに&incはオープンしました。
オーナーはヘアアーティストとして世界各地で活躍。
海外の雑誌や広告モデルのヘアメイクを担当していた経歴の持ち主。
この度東京でベースとなるお店を出店しようと、このプロジェクトがスタートしました。
ご要望は『海外の知人宅を訪れたような雰囲気』。
それを実現するため、居抜きの7.9坪という空間にゆとりを生み出し、併せて予算を抑えつつも街に見合う高級感のある空間デザインを計画していきました。
店内全体はぺールトーンで、柔らかな印象の中にも黒フレームで引き締め、所々に間接照明を使う事で広がりや高さを感じさせます。
また、ウォームグレーのアクセントウォールや厚い廻り縁など海外テイストを散りばめ、重厚で高級感のある店舗空間に仕上げました。
大きなミラーはお店のアクセントです。
天井から足元まであり、その大きなミラーに空間を映し出すことで広がりを感じさせます。
また、ミラーの枠が間接照明になっているので空間に広がりを出すことはもちろん、お客様を美しく映す効果があります。
ミラーにはカウンターが付いていますが、厚みのある設計にすることで一枚板のように表現しました。
什器は、浮遊感がありつつも黒いフレームが空間を引き締めています。
この什器はオリジナルのもの。
デザイナーは現場担当者と密に連携してつくりあげました。
ビスは見せない、でも黒いフレームは極力細くしたい、ギリギリのラインを探り、この空間デザインを実現しました。
空間をすっきり見せるためには引き算も必要です。
例えばタオルの収納は什器を置くのではなく、機能的に見せない工夫をすることで叶えました。
シャンプー台の横の穴は上からタオルが取れて、下には使用済みのタオルを入れられるようになっています。
実はこのタオルポケットはバックヤードのデッドスペースを、機能的に活かせないか、と工事を進めていく中、ディレクターが発案したものです。
バックヤードからタオルの補充ができ、オーナーも納得いく仕上がりでした。
ファザードはジョリパットで厚みを出し重厚感のある外壁に仕上げました。
色はニュアンスのあるホワイト。
自動ドアの枠は黒でメリハリを持たせました。
店舗の左側が住宅の入口なので、店舗の世界観を保つために壁を立てました。
あえて店内の様子を見えにくくしてほしいというご要望があったため、エントランスとカットスペースを分ける壁を立てることに。
墨出しの段階からオーナーと検証し、店内の気配を感じられる塩梅を探りました。
壁の上部はオープンにすることで、店内の気配を感じられる、そんな狙いがあります。
エントランスにはグリーンと下の方まで垂れ下がった幾何学のシンプルな照明をディスプレイ。
お店のセンスを感じられるお客様をおもてなしする空間です。
『海外の知人宅を訪れたような雰囲気』は工夫を重ね、空間にゆとりとグレード感を生み出しました。
麻布十番という街に見合う、くつろぎの時間をお楽しみいただけるのではないでしょうか。
DETAIL
店舗詳細
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DATA
店舗情報
- 店名
- &inc アンドインク
- 住所
- 東京都港区南麻布1-4-18
- 広さ
- 7.9坪
- 竣工
- 2019年