祇園の奥座敷、初音小路。石畳が続くこの風情ある路地には、歴史を刻む町家や老舗の飲食店が軒を連ねています。その一角に佇む古い一軒家が新たな焼き鳥の名店へと生まれ変わりました。「祇園 鳥寿々」は祇園の街並みに自然に溶け込みつつ、扉を開けば和の美意識が息づく空間が広がります。
伝統と現代が融合したリノベーション
古い木造住宅を店舗として活用できるようにするために多くの工程を経ました。必要な柱を残しつつシロアリ被害を補修し、新たな構造材で強度を確保。天井の低さは配管を床下に埋め込むことで解決。客席の床を一段上げることで厨房との目線を揃え、広がりを感じる設計を試みました。
9坪でも圧倒的な存在感 細部にまで宿るこだわり
「祇園にふさわしい焼き鳥店をつくりたい」オーナー様の思い描く理想を限られた空間でどう表現するか。レイアウトを何パターンも考えました。店内の隅々にまでこだわり、素材の質感やレイアウトの工夫によって、重厚感と高級感のあるデザインを実現しました。

カウンターには天然木の天板を採用し重厚感をプラス。さらに異なる素材のつけ台を組み合わせることで、質感の対比を際立たせ、奥行きのある表情を生み出しました。厨房の作業台には人工大理石を用いて耐久性と高級感を両立。焼き台のフード囲いには深みのある色合いのタイルを採用。空間に落ち着きをもたらしています。

造作したワイングラス棚には職人が手掛けた染色なぐり板を採用。手触りの温かみが感じられる仕上げで、木の風合いを活かしたディテールに。

壁面には職人の手仕事による洗い出しを採用。伝統的な技法を生かしながら現代の感覚にもフィットするデザインを取り入れました。こうした細かな工夫の積み重ねが、懐かしさと新しさが調和した空間を生み出しています。

店内の照明は空間全体が一つのステージになるように計算しています。厨房から客席まで視線の抜けを確保し、陰影のバランスを調整。コンパクトな店内でも開放感を損なうことなく、心地よく食事を楽しむことができます。

サニタリースペースにも品格を。天板に御影石を使用しました。床と壁の緑タイルのグラデーションが居心地の良さを生みだしています。

祇園の町並みに溶け込むことを重視し、外壁には伝統的な左官技術である洗い出し仕上げを施しました。手作りの行灯を配し、窓には鉄の格子をはめ込むことで、歴史ある街並みに馴染みながらもさりげなく個性を演出。
素材が語る、上質な心地よさ
わずか9坪。だからこそ生まれる一体感。どこに座っても職人の技と洗練されたデザインが目に入る贅沢な空間で、至極の焼き鳥をゆったりとお楽しみください。

DETAIL
店舗詳細
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DATA
店舗情報
- 店名
- 祇園 鳥寿々
- 住所
- 京都府京都市東山区祇園町南側581−3
- Web
- https://www.instagram.com/kyoto_torisuzu/
- 広さ
- 9.05坪
- 竣工
- 2024年7月