京王線・仙川駅を降りて商店街を進んでいったとあるビルの地下1階の奥。
隠れ家のような場所に「BOM BOM」はあります。
もともと調布でバーを経営しているオーナー様が、3店舗目としてオープンしたバーです。
弊社へは、内装のマッチングサイトからお問合せがあり、数社の中からデザインを気に入っていただきご依頼されました。
事前にオーナー様からお話を伺うと、このお店にはご自身は立たず、知人のブラジル人女性に任せるとのこと。
そこで、デザインのコンセプトのひとつに「ブラジル」というキーワードを盛り込むことにしました。
具体的には、まずカウンターバックに照明を半円形で3重に配することに。
円のセンターに人が立つと、まるで背中に輝く大きな羽根飾りを背負っているように見える ─── そう、「リオのカーニバル」のイメージです。
これによって、人の視線が集まる中心線を作りました。
一方で、映画「未来世紀ブラジル」という連想も浮かびました。
80年代にカルト的人気を集めた映画ですが、その「未来感」とインダストリアルなモチーフもデザインに落とし込みたい。
その結果、写真のような仕上がりになりました。
打ちっぱなしのスケルトンな状態をそのまま活かし、カウンターバックと奥の壁面はミラー張り。
そして、カウンター上部に多数の照明を、ミラーに映る鏡像と繋がるように配置して、奥行きが倍の広さあるように錯覚することを狙っています。
カウンターは、木材の板に対して小口に金属を組み合わせ、下側に間接照明を仕込みました。
この照明の光があることで、カウンターのエリアがひとつのセットのようにまとまりを持って見えるはずです。
インダストリアルなモチーフとしては、カウンターバックの棚を工事現場の足場で組んでいます。
デザイン的にもコストカットという面でも、うまくハマったポイントです。
全体的には、カウンターまわりを集中的に作り込んだ、一点豪華主義のお店になりました。
実は、オーナー様にも非常に気に入っていただけたようで、「雰囲気もいいし、ブラジル人のバーという付加価値もおもしろいので」と、竣工後に「会員制」にすることを思い付かれました。
といっても、銀座のラウンジのように “選ばれた人だけ” のためのバーではなく、このお店の雰囲気や趣味を「心地いい」と感じる人たちが集う ─── そんな空間が作れたと思っています。
DETAIL
店舗詳細
STORE
DATA
店舗情報
- 店名
- BOM BOM
- 住所
- 東京都調布市仙川町1丁目11‐14 キクヤビル B1F
- 広さ
- 13.46坪
- 竣工
- 2021年