麻布十番で、知る人ぞ知る完全会員制の江戸前寿司店「鮓ふじなが」。
オープンは2017年ですが、5年目の2022年に同じ麻布十番で場所を移転するとのことで、弊社にご依頼くださいました。
大きな特徴は、まるで檜舞台のような、劇場型でドラマティックなメインカウンター。
コの字型のメインカウンターは、「ザ・劇場」というイメージで作り込みました。
オーナー様の「通路を暗くして、メインのフロアと緩急の差をつけることで、演出的で印象に残る感じにしたい」というオーダーに沿って、お店の入り口から通路までは暗いトーンで、組子格子の建具の隙間からチラチラとカウンターが見え隠れして、訪れるお客様の期待感を盛り上げるような仕掛けになっています。
そして、奥の扉を開くとこのお店の主役・総檜造りのカウンターが現れます。
天井は、黒一色の中に、これも檜造りの格天井がまるで宙に浮いているかのよう。
種明かしをすれば、黒い天井から小さな壁を作って格天井を吊っているのですが、その壁面を、下からでは見えないような奥の方に作ることで、浮遊感を生み出しました。
また、左右の壁面はラメや銀粉を入れた特殊左官で仕上げ、他にはないオリジナルの質感を出しています。
これらの要素が相まって、カウンターがまるで能の檜舞台のような特別な空間になりました。
実際に、カウンターにはマイクも設置してあって、職人さんがお客様の前で「口上」よろしくお料理の説明をすることもあるそうです。
が、この舞台には誰でも訪れられるわけではありません。
完全会員制の為、入り口の自動ドアは予約をした会員様が会員証をかざすことで開くようにする必要がありました。
実はオーナー様は、以前にある方からペンギンのぬいぐるみをいただいたところ、それ以来幸運が続いたとのことで、ペンギンを非常に大切にしていらっしゃいます。
そこで、店舗デザインのあちこちに、ペンギンモチーフを散りばめることにしたのです。
たとえば、カウンターと通路を仕切る建具の組子格子の中に。
トイレのドア前の鴨居や、引き戸の取手に。
カウンター横の左官壁の中にも、うっすらとシルエットが ───
この遊び心も含めて、オーナー様から「やはりお願いしてよかった」とご満足いただけました。
まるで「鮓劇場」の檜舞台でドラマティックな体験ができる。
これからの鮨の在り方をリードするような、エンターテイメントな鮨屋が誕生しました。
DETAIL
店舗詳細
STORE
DATA
店舗情報
- 店名
- 鮓 ふじなが
- 住所
- 東京都港区麻布十番1丁目5-18 カートブラン麻布十番 4F
- 広さ
- 34坪
- 竣工
- 2021年