「プレ デュ マルシェ」は京都の街なか、河原町通、烏丸通、四条通、御池通に囲まれたエリアにある南仏料理ベースのデリカテッセンです。
ネイルサロンなどさまざまな事業を展開しているオーナー様の新事業として、新築ビルの1階にオープンする店舗をお任せいただきました。
イメージカラーも「コートダジュール」の「アジュール」=「青」に。
さまざまなトーンの青タイルを取り寄せて、オーナー様と相談の結果、写真のターコイズブルーを選びました。
が、ご存じのように、京都には厳しい景観条例があり、世界的なチェーン店でもコンセプトカラーの使用が制限されるほどです。
このビルも、街並に合うように建築自体が黒と木の自然な色で統一されていました。
店内は、外壁から内側1mほどまでは外と同じ床材が張られ、天井も外壁と同じ色、一見「南仏」や「アジュール」とはなじみません。
ただ、この規制は守るべきだ、それが京都らしさにもなる、とも感じたのです。
そこで、外から店内1mまではこの建築的な要素から逸脱しないようなファサードを作りました。
たとえば、外に設置した立ち飲みテーブル。
建築全体のアクセントにもなっている、木材を縦に並べたような装飾とデザインを揃えています。
ガラス張りの壁面に沿って設置したカウンターも、同じ色調の木材です。
そうして外と中を、曖昧になる日本的な縁側のような空間に作れました。
一方、店内1mより内側は「南仏」を濃く取り入れました。
といっても、ディズニーシー的なステレオタイプの南仏テイストでは、この日本的でシンプルモダンなファサードとつながりません。
そこで、同じ「南仏」でも、「モダンなフランス」を作ることで違和感を無くしました。
壁面を左官仕上げにすることで、南仏的な石造りのあたたかみを残しつつ、カウンタートップやテーブルトップは人造大理石に、金属部分はステンレスで統一しています。
天井はあえてむき出しにして高さを生かし、店全体を清潔感ある白で塗装しました。
ただ、難しかったのはレイアウトです。
店舗の奥に小さなスペースがあり、当初はそこをスタッフルームにする予定でした。
が、着工直前にオーナー様から「そこも客席として使いたい」というご要望が出たのです。
といっても、テーブル席を設けるほどの広さはありません。
そこで、高さのあるテーブルとヒップバーを設置することで、ちょっと腰掛けたり立ったりして気軽に飲めるスペースをつくりました。
京都という特別な立地条件や建物の特性から、当初はさまざまな制限があった案件でしたが、それによって妥協することなく、魅力ある店舗づくりができた事例です。
DETAIL
店舗詳細
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DATA
店舗情報
- 店名
- Pres du Marche プレ・デュ・マルシェ
- 住所
- 京都府京都市中京区蛸屋町151 カッソーナアレックスビル1F
- Web
- https://presdumarche.kyoto/
- 広さ
- 23.20坪
- 竣工
- 2021年