新鮮な卵や国産素材にこだわったスイーツ店「TAMAGO COCCO」。
ミニマムなお店は訪れたお客様に材料から完成までを想像させる、まるでガラス張りの研究所のようです。
卵の開発、全国のたまごの流通に関わる、JA全農たまごさんのスイーツ店ブランドリニューアルも伴った店舗移転のご依頼です。
JA全農たまごさんが開発した「しんたまご」を使ったスイーツを通じて卵の美味しさを伝えたいというご要望を受け、コンセプトを、” Laboratory=ラボ”としました。
「TAMAGO COCCO」は都営新宿線 曙橋駅、大江戸線 牛込柳町駅のまんなか、外苑東通りを5分程歩いた場所にあります。
シンプルなモールテックスで塗られたモノトーンのファサードはゲートのように見立て、お店の世界観を大事にしました。
サイン部分も余計な装飾をすることなく、ロゴの下地をくりぬいてアクリルを貼り、夜間は発光するスマートなデザインにしました。
まるで活版印刷のような上質な味わいが感じられます。
建具はできるだけ店内が見通せるようにガラス面を大きく、開放感をもたせました。
卵をイメージした建具のラウンド型のハンドルはオーク製の特注でファサードのアクセントです。
店内はファサードと同じくクリーンな印象です。
ベースは壁のモールテックスと床のモルタル、そしてアクセントに杉の素材を使ったミニマムなデザインです。
入り口から入った正面には浮遊感のあるガラスのショーケースに色とりどりのスイーツが並んでいます。
天井には幾何学的な美しさのある鉄管が配管されていますが、これは機能性のあるもので、実用性と意匠性を兼ね備えています。
天井から伸びた鉄管は壁の照明にまで伸びており、焼き菓子の並ぶ杉の棚板を照らすアイキャッチになっています。
左手には資材搬入の通路兼資材置き場がガラス越しに見えています。
外から店内への扉は2つあり、1つはお客様用ですがもうひとつは資材搬入と従業員出入り口です。
これはスイーツがどんな材料から出来上がっているのか完成までをイメージさせ、さらに見えることで清潔感、安心感を感じる事ができます。
資材搬入口は内側にも扉があり、静脈認証で厨房へ入れるセキュリティとなっており、異物混入への対策も万全です。
ショーケースへ視線を戻すとその後ろは厨房を広く見渡せるガラス張りになっています。
よりシャープな印象を持たすため現場チームの発案で建具のチリ(枠の厚み)を出さない建具のデザインにしました。
お客様のいる場所からも大きなオーブンに火がともり、赤々とした様子が見て取れます。
ここで焼かれた出来立てのスイーツがいつも店頭に並ぶのだと想像できるライブ感あるデザインです。
このお客様から見えるオーブンの配置にあたり現場チームは奮闘しました。
設置の場所は梁があり、オーブンそのものも高さがあるので、ダクトルートを工夫し、フードもオリジナルで設置するなど実現のために創意工夫しました。
また店内、厨房共に室温は25度にキープするという決まりがあり、それを実現するために空調設計にも気を配りました。
ちなみに厨房内のオーブンの手前には吊棚が設置してあります。こちらも杉の棚板をつかうことで売り場側とのつながりをもたせました。
ミニマムでクリーン、そしてラボのようにお客様に対して材料から完成までをイメージさせ彩り豊かなスイーツを引き立てるデザインは五感に訴えます。
厨房設計は大量注文の際も対応できるようにセントラルキッチンとして機能するように設計しました。
撮影にお伺いした日に、地元のお客様が開店直後に訪れ、スイーツを楽しそうに選んでいる姿が見られました。
決め細やかなデザイン設計で地域に根付き、さらにはセントラルキッチンとしての厨房設備で近い将来、全国に美味しさが届くようになるのではと感じました。
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DATA
店舗情報
- 店名
- TAMAGO COCCO たまごこっこ
- 住所
- 東京都新宿区市谷薬王寺町52-5 宮尾ビル1F
- 広さ
- 31.6坪
- 竣工
- 2019年