「ピエール・エルメ」様から最初にご依頼があったのは、「福岡空港にポップアップショップを開設するので、その設計デザインを」というお話でした。
日本通のピエール・エルメ様が、ご自身で選りすぐった日本のすばらしいものを発信するコンセプトショップ「Made in ピエール・エルメ」ブランドの店舗です。
タイトなスケジュールの中デザインしたポップアップ店舗を非常に気に入っていただき、常設店舗に切り替わる際に、引き続きお願いしたいとご依頼いただいたのが、この「Made in ピエール・エルメ 福岡空港」です。
この店舗にはいくつか高いハードルがありました。
まず第一に、著名な高級ブランドであり、ブランディングはもう確固として完成されていたこと。
それに対してデザインをどう展開していくか、というのが課題でした。
まずポップアップを担当した際に、白い店舗がトレンドであることに着目して、白一色のデザインを提案したところ、「トレビアン!」というお言葉をいただけました。常設店も白い店舗にしています。
ただ、この「白」というのは微妙で繊細な色です。
同じ白でも塗装の白、石の白など5色ほどの「白」を並べて、「これがいい」「いやこっちだ」と談論風発、決まるまでに1日かけました。
そして、第二のハードルは空港という場所。
天井や通路などどうしてもデザインを変えられない部分がありながら、広い空間の中で遠くからでも目をひかなければなりません。
そこで、商品を上の方にずらっと並べて、間接照明を仕込みました。
どこからもよく見えて、お店のファースト・インプレッションとして強い訴求力をもたせることに成功しています。
ちなみに、ロゴのサイズにもこだわりが。
50m先、100m先からどう見えるかを、実際にビルの窓にさまざまなサイズのロゴを貼って検証した結果、デザインを損なわない範囲でもっとも目に立つ絶妙なサイズに落とし込むことができました。
さらに、ブランド側から用意された、日本をイメージした写真を掲げたい、そしてそれを随時別の写真に入れ替えていきたい、というご要望もありました。
そこで、モンドリアンの絵画から着想を得て、写真にフレームをつけることに。
これにより、どんな写真に差し替えても、となりの写真とバッティングせずにしっくり馴染むはずです。
ひとつユニークなのが、店舗部分と通路を挟んで向き合うカフェスペースのテーブルとイスで、地元の大手家具メーカー様にご協力・ご協賛いただき、メーカー様の持っているオリジナルの家具の天板を、ピエールエルメのカラーである白色で特注いただいたものになっています。
「Made in ピエール・エルメ」は、今後全国に店舗展開する予定とのこと。
その際に、どこにでもはめ込むことができる店舗デザインのプロトタイプとして、コンパクトにまとめることができた成功例のひとつです。
DETAIL
店舗詳細
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DATA
店舗情報
- 店名
- Made in ピエール・エルメ 福岡空港
- 住所
- 福岡県福岡市博多区下臼井767-1 福岡空港国内線旅客ターミナルビル3F
- 広さ
- 29.43坪
- 竣工
- 2021年