JR有楽町駅と新橋駅を結ぶ線路の高架下、レンガ造りのアーチ型が連なる商業施設「日比谷OKUROJI」。
黒・グレー・シルバーを基調にしたスタイリッシュな施設内を歩いていると、そこだけ温かな飴色の光をほんわりと放っている一角が見えてきます。
それが、はちみつ専門店「BEE FRIENDSHIP日比谷」──自社で営む養蜂場のはちみつを中心に、四国・愛媛の特産品なども販売するお店です。
このお店のデザインテーマは、ずばり「はちみつ」と愛媛のもつ「カントリー感」。
はちみつの持つ甘さ、あたたかさから着想を得て、養蜂場のイメージを店内の随所にちりばめました。
たとえば、テーブルやカウンターは六角形の蜂の巣モチーフで統一し、左右の壁面はとろりとしたはちみつ色。
天井には木の屋根組を配し、来店したお客様がまるで養蜂小屋に迷い込んだかのような雰囲気を演出しています。
右手には厨房スペースとイートインカウンターを配置。
愛媛のフレッシュな柑橘類をつかったジェラートに、生はちみつをたっぷりかけたスイーツを、店内・店外のテーブル席でいただけます。
中でも特にオーナー様に気に入っていただけたのが、屋根組から吊り下げた4つの照明です。
最初は既製のガラス製照明器具を予定していましたが、それよりも、現場で使っているベニヤでつくってみよう! とオリジナルで六角形を組み合わせてデザインしたところ、予想を超えてハマり、お店のシンボルのひとつとなりました。
このベニヤも、デザインのポイントです。
単なる無垢材ではなく積層合版にすることで、木口(切り口)にラインが出て、あたたかみを強調すると同時に、ミツバチのおしりの縞模様のイメージにもつながっています。
一方、店舗の奥はディスプレイスペースとして、一面に棚をつくりつけました。
ずらりと並んだはちみつの瓶は、花の種類によってカラフルなラベルがついていて、色味を統一した店内でひときわ目を惹きます。
棚奥の壁面は、お客様が好きなように広告、POPを手書きできるよう、黒板塗装を施しています。
実はこのスペースは鉄道高架下の施設にあるため、壁にビスが打てない、天井に手を加えられないなど、さまざまな制限がありました。
が、「それならいっそ、天井はスケルトンにしよう」と思い切ることで、かえって高さと広さを出すなど、工夫とアイディアを詰め込んだ1店となりました。
「路地裏にある穴倉に潜り込んだら、そこは愛媛の養蜂場につながっていた」──そんなワクワク感と癒しを感じていただけるはずです。
DETAIL
店舗詳細
STORE
DATA
店舗情報
- 店名
- BEE FRIENDSHIP 完熟屋 日比谷店
- 住所
- 東京都千代田区内幸町1-7-1 日比谷OKUROJI高架下施設内
- 広さ
- 10.92坪
- 竣工
- 2021年