工場をリノベーションする
2018年4月、「かつて東洋一といわれた鉄鋼の街北九州の、まさにその工業地帯入り口に立地する1000坪の木材置き場跡地をリノベーションして人が集まる売場を創りたいのでその提案、プロデュースをお願いしたい。」それが最初に聞いた依頼内容だった。
ワクワクする気持ちを抱きながら北九州の地に現地調査へ。
飛行機、レンタカーを乗り継ぎ現地について思ったこと。
「最高だ!最高に面白い!!」
現地の木材置き場のいかつい鉄骨屋根やクレーン、まだ山積みとなっている木材、古びた社屋(最終的に取り壊しになった)、そして周りの“THE 工業地帯”、大きな煙突、山積みの鉄骨、工業用資材の廃材、見るものすべてが痺れる!ロケーションだった。
↑右のホクサイと書かれた施設が現地
↑材木置き場、この建物を利用
↑目の前の工場や廃材
そしてまだ何も計画が決まっていない。
曖昧なだけにあれもこれも世界で見てきた素敵な“場”がアイデアとして脳裏に浮かんだ。
早速、社に帰ってプロジェクトスタート。
『Heavy Duty』重厚長大のかっこよさ
何も決まっていないと言いながら、ひとつだけ最初から決まっていたことがある。
個性的な家具メーカーであるDULTON(株式会社ダルトン https://www.dulton.co.jp)ブランドのショールームを中心として人の集まる場にすること。
私たちの取引先であるDULTONさんのことは、空間づくりのお仕事を通して、また個人的な大ファンとしてよく知っているつもり。
DULTONブランド×北九州工業地帯は最高のタッグに思えた。
クロノバデザインに依頼した理由
・DULTONさんの空気感をわかっているから
・意図を汲み取れる、デザインに落とし込んでくれる
・コンサル的な立ち位置で。プロデュース的立場で
↑独特の世界観を持つDULTON
最初のデザインアイデアは、
・アメリカの砂漠のなかにポツンとあるアミューズメントパーク
・鉄の塊のような造作物
・やたらと大きな看板とか
・木材置き場を利用したガレージショップ
・古い社屋をリノベしたブリックとウォールアートの壁面 などなど
↑アメリカのロードサイドを思わせる
↑当初は’60のアメリカの遊園地のような
アイデアを現実~前例のないプロジェクト~
このエリアは今も昔も工業地帯の一角であり、そこを“お店”にするためには様々な制約があった。
例えば、建築基準法の問題。これは地元で有力な企業である施主様の尽力によって解決されたが、工業地帯で前の建物を利用しながら新たな商業施設にする例は今までになく、全てが手探りだった。今回は施主様のお力によるところが大きい。
プロジェクトが進めば施主様の要望も変わる。北九州と東京を行き来しながらそのたびに大きな修正を加えて現実に近づけていった。
↑壁に張り紙をしてイメージを張り替えながらひとつづつのアイデアと全体のバランスの整合性を整えていく。当初はプレゼンの度に持込修正を繰り返した。
↑全体感が掴めるように模型を作成。東京の事務所で作って北九州まで輸送し、壊れたところを修復してプレゼンにのぞんだな~(汗)
↑プラントハンターで名高い西畠清順氏の案内で、大阪のそら植物園にて施設内のグリーンを物色中。世界中の変わった植物と出会えて楽しい体験でした。
最終形態~黒子に徹する~
元々、地元で有名な建設会社である施主様であるだけに一旦整理ができてしまうと次々に具体化していった。許容できるコストで、やるべき目的に向かって一気に進む。
↑可変性を持たせたショールームとすべく、また木材置き場の名残を残して木組みでゾーニングを図る
そして、コロナ禍の2020年4月26日にオープンしました。
まだまだ今後も進化していく予定でやり残したアイデアが一杯です。
これから北九州のランドマークになっていくことを期待すると共に、これを契機に日本中の時が止まったような“場”が生まれ変わってエリアを元気にすることに力を尽くしていきたいと感じさせてくれるプロジェクトとなりました。
n-BASEMENT
DETAIL
店舗詳細
STORE
DATA
店舗情報
- 店名
- n-BASEMENT
- 住所
- 北九州市小倉北区西港町15番地
- Web
- https://n-basement.jp
- 広さ
- 1,360坪
- 竣工
- 2020年