江戸時代に商業や芸能で栄えた人形町。今でもその古き良き風情を残し、品のいい和食料理屋が軒を連ねています。
そんな人形町の大門通り沿いに「天ぷら やぐち」はお店を構えています。
店主は元々天ぷらの名店「みかわ是山居」のお弟子さんで、六本木のお店を任されていました。
みかわ是山居を辞められた後、独立して開店したのが天ぷら やぐちです。
施主様からは「修業時代のいただきものの陶板を飾れる、和風の品があるお店にしたい」というご要望をいただき、内装やファサードをデザインしました。
店内に足を踏み入れると、みかわ是山居と同様に天ぷらを味覚だけでなく視覚でも堪能できる対面カウンターと、江戸に流行していた小紋の柄“網代柄”をあしらった天井、そして存在感際立つフードが目に入ります。
天ぷら やぐちの内装デザインでは、どこにでもありそうで、実は希少性のあるデザインをカウンターや天井に施しています。
六角形のフードは意匠フードを採用しています。換気は別のフードで行っているため、意匠フードに機能的な価値はありません。
ですが、天ぷら やぐちという空間を楽しんでいただく“体験価値”は、このデザインを通して感じていただけるのではないでしょうか。
網代の天井は主に茶室などでよく見られる模様です。
江戸時代には小紋の柄として流行していました。下町の情緒をこのような部分でも感じることができます。
飲食店の天井で網代柄を採用するのは珍しく、天ぷら やぐちの内装デザインでこだわったポイントでもあります。
高級感・品の良さを感じさせるデザインとなりました。
カウンターはスプルスの無垢材を使用しています。
肌目が緻密で、絹目の美しい光沢を持っているため、天井の照明から当たる光を上品に跳ね返しています。
また、カウンターの奥行きを菜箸の長さに合わせて設定(490mm)したのも特徴です。
お客様に満足していただくサービスを提供するために、細部までこだわったデザインを徹底しています。
お店の顔であるファサードは、櫛引仕上げで表現しました。
さっぱりとはし過ぎず、かつ煩くならないデザインに仕上がりました。
バランスよく水平に引かれた線が丁寧な印象を与えるとともに、所々浮き出ている凹凸が古風な味を出しています。
独立してその地域の方々に料理やサービスを提供する。
そのお手伝いを、私たちは内装やファサードのデザインを行うことでさせていただいています。
入口前には本日満席の札が。
伝統と歴史が長く息づく人形町で愛され続けるような、粋で上質なお店に仕上がりました。
【ミシュラン獲得】
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DATA
店舗情報
- 店名
- 天ぷら やぐち
- 住所
- 東京都中央区日本橋人形町2-9-7 大江戸アクセス2 1F
- 竣工
- 2020年