浜田山駅からすぐ、昔ながらの活気ある商店街がひろがり、お年寄りから親子連れまで買い物客でにぎわっています。この浜田山は閑静な住宅街が広がる緑も豊かな落ち着きのある街です。
そんな浜田山の商店街を一本入ったところに、本場イタリアのシチリアで修業を積み、その店の店長まで務めたシェフがリストランテ『Al Fogher』をオープンしました。そのお店は例えるなら、街に馴染み街の人にとって日常の中の少しだけ特別な日を演出し、彩りを加えてくれる、そんなお店です。
ファサードは、サインと建具だけのミニマムなデザインに仕上げました。建具にはスリガラスをはめ込んで店内を見せすぎず、気配だけを感じられるのでどんなお店なのかつい気になってしまう、いい緊張感を演出しました。サインはイタリアの国旗をステンドグラスにして、中から光らせています。店は商店街から一本入ったところなので、目立つようオリジナルの行灯を店の左右の端に置き、通りがかる人々の目を引いています。
店内に入ると、まるでイタリアに古くからあるような、地元の人が通うリストランテの雰囲気を感じます。ファミリーやグループでももちろん、1人でも訪れやすいように個室、テーブル、カウンターと利用シーンに合わせられる構成です。
テーブル席の上にあるシャンデリア、ツガの古材、手描きの葡萄の壁画など、演出を重ねることで古さを程よく印象付けています。テーブル席では、ゆったりと食事と会話を楽しんでほしいという思いで、座面サイズが広く、ゆったりと座れるアームチェアを選びました。背もたれが低く圧迫感がないので、ずらりと入口から椅子が並んでもスッキリとした印象のままです。
カウンター席は1人で訪れるお客様もシェフとの会話や調理風景を楽しめるように設計されたオープンキッチンが向かい側になるカウンターです。テーブル席とはまた違った雰囲気で、大理石をあしらった壁面やずらりと並んだグラスを見せる特注の什器が上質感を感じさせます。
個室は明治大正を感じられる和洋折衷な和室に時代家具を設置し、店内のイメージと違うデザインにしました。この個室には仕掛けがあり、席の後ろにある丸窓の障子を開けると、かまどのステンドグラスが出てきます。このかまどは、シェフが修業を積んだイタリアのレストランをイメージしてデザインされています。思わず写真を撮りたくなる空間です。
他にも遊び心のある小さな秘密が。一つ目は、テーブル横の黒い小窓を開くと呼び出しベルが隠されています。二つ目は、トイレが使用中かを、個室に居ながらわかる仕組みです。個室天井にあるイタリア国旗をイメージした3色ランプがお知らせしてくれます。このユーモアのある工夫はオーナーからのアイディアです。実用的でありながら、センスを感じさせます。
レストルームは洗面とトイレの空間でまた違た表情を見せます。洗面空間はシックな雰囲気なのに対して、扉を開いたトイレは白と赤のヘキサゴンタイルで明るくポップな印象です。ちょっとしたイメージの違いにパっと心が明るくなります。
イタリアでは、週末は家族揃って食事に出かけ、お互いの出来事を話し合う文化があるそうです。そんなイタリアの地元の雰囲気を感じさせるリストランテに、この街に住む3世代がそろった少し特別な日「あのお店に行こうか」と皆で出かけたくなる、上質で親しみやすいお店になりました。
DETAIL
店舗詳細
STORE
DATA
店舗情報
- 店名
- Al Fogher アルフォゲール
- 住所
- 東京都杉並区浜田山3-23-9 ルネ浜田山103
- 広さ
- 約15.5坪
- 竣工
- 2019年