個店を10店舗にする方法[vol.02] 売上予測の考え方編
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店舗を出店するにあたって、計画している店舗が月にどの程度の売上高を上げる事ができるのか?
出店を希望されるオーナーが計画の比較的初期段階で考えることがらの一つで、その売上予測は今後の出店計画において非常に重要な要素と言えるでしょう。
なぜなら、「その事業を起こして果たして儲かるのか?」「投じた初期費用を回収するには何年かかるのか?」などの事業の根幹に関わる要素は全て、この売上予測から「事業計画」として弾き出されるからです。
売上予測の考え方
例えば、仮に筆者があるレストランの開業を目指していたとして、自店の月間売上をシミュレートする場合には概ね以下の様な計算で、机上の売上計算を行います。
想定客単価
(昼)1000円
(夜)3000円
ランチタイムを11時~15時、ディナータイムを17時~23時、店舗席数20席、週一回月曜日を定休日とします。
飲食店であれば月曜日~木曜日の売上と金曜日・土曜日・日曜日は大きく変わる場合があるので、より正確に近い売り上げ予測を行う場合は、曜日の変動についても考慮するものとします。
・火曜日~金曜日の単日ランチの売上高
1,000(円)<昼単価>×20(席)<席数>×0.8<充足率>×2<回転率>=32,000(円)―①
・土曜日~日曜日の単日ランチの売上高
1,000(円)<昼単価>×20(席)<席数>×0.9<充足率>×3<回転率>=54,000(円)―②
・火曜日~木曜日の単日ディナーの売上高
3,000(円)<夜単価>×20(席)<席数>×0.6<充足率>×2<回転率>=72,000(円)―③
・金曜日~土曜日の単日ディナーの売上高
3,000(円)<夜単価>×20(席)<席数>×0.9<充足率>×2.5<回転率>=135,000(円)―④
・日曜日の単日ディナーの売上高
3,000(円)<夜単価>×20(席)<席数>×0.7<充足率>×2<回転>=84,000(円)―⑤
上記より1週間の売上高を計算します。
32,000(円)×4(火曜日~金曜日のランチ売上合計)
+54,000(円)×2(土曜日~日曜日のランチ売上合計)
+72,000(円)×3(火曜日~木曜日のディナー売上合計)
+135,000(円)×2(金曜日~土曜日のディナー売上合計)
+84,000(円)(日曜日のディナー売上)
=806,000(円)―⑥
1か月を4.4週間とすると、1か月の売上高は
806,000(円)×4.4=3,546,400(円)程度と予測できます。
客単価・充足率・回転率
さていくつか解説しましょう。
客単価というのは、ご存知の方も多いかと思いますが、お客さま一人あたりの平均支払額となります。
フレンチやお寿司やさんの様な業態のお店は客単価が高い傾向にあり、逆にファーストフードやコーヒーショップ、ラーメン屋さんなどは客単価が低い傾向にあります。ここではランチタイムとディナータイムでは、メニュー構成や滞在時間等が異なるので、客単価を分けて考えています。
充足率というのは「最大の席数に対する充足率」で「お店の混雑加減」を表す指数と言えます。
カウンター席のみのラーメン屋さんなどを除けば、常に店舗の席数いっぱいにお客様が座っているという状況はかなり稀で、例えば4名テーブルに3名のお客様をお通しした場合に空席が一つできてしまいますといった状態を売上予測に組み込んだ考え方となります。
ランチとディナーを比較すると一般的にはランチ>ディナーと言えますが、金曜日や土曜日は夜も「満席の近い状態」になるので充足率を高めに設定しています。
回転率は「一席当たりに何人のお客様が、その時間中に座るか(回転するか)」という考え方です。
例えば上記の『火曜日~金曜日のランチ』の場合、11時~15時までで、同じ席に2名のお客様がランチを取られるという状態を想定したものになります。回転率は「滞在時間」とも見て取れ、一般的にはランチ>ディナーとなります。
開業を目指されるオーナー様は必ず上記の売上予測の算出を行う事になります。それは、それがないと事業計画(収支計画)が立てられないからです。
ですが、誤った見込みや実態にそぐわない売上予測をしてしまうと、出店後に「こんなはずじゃなかった…」というような事になり兼ねませんので、売上予測はできるかぎり詳細に検証しましょう。
今後出店を希望され、事業計画立案や売上予測が初めての方に筆者の計算方式が少しでも、皆様もお役にたって頂ければ幸いです。
また当社では、デザイン、施工のほかに上記の様な事業計画に関するアドバイスや売上予測の検証等についてもお手伝いさせて頂く事が可能です。何か不明な点や、アドバイスが必要と思われる方がいらっしゃったら、お気軽にご相談下さい。
さて、筆者が仮にあるレストランを出店するとした場合の売上予測は月3,500,000(円)程度と上記計算より算出できました。また売上予測を算出するために必要な、客単価、回転率、充足率も設定しました。
では次に「どの様なデザイン、雰囲気、空間のお店を幾ら位の工事費を掛けて作っていくか」という事を考える場合に、実は先述の「売上高」「客単価」「回転率」という要素が非常に密接度高く関係してきます。
その辺のお話は次回、初期投資と回収について考える個店を10店舗にする方法[vol.03] 投下資本回収編1(単月黒字化を考える)に筆を譲るとします。
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「個店を10店舗にする方法」シリーズ
個店を10店舗にする方法[vol.01] 物件の選び方と家賃編
個店を10店舗にする方法[vol.02] 売上予測の考え方編
個店を10店舗にする方法[vol.03] 投下資本回収編1(単月黒字化を考える)
個店を10店舗にする方法[vol.04] 投下資本回収編2(投資回収年度を考える)
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