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Magazine 03

after interview

アフターインタビュー

個店エフェクト|まさに期待に応えてくれた店舗デザイン

update :

「BEE FRIENDSHIP 完熟屋 浅草店」実際に店舗デザインをされたオーナー様にお話を伺いました。
クロノバデザインでは、小さな個店が人を介して活気のある街、“場”をつくることを“個店エフェクト”と呼んでいます。

BEEFRIENDSHIP 溜池算人様

元は愛媛のみかん農家のご出身だが、みかんの花から養蜂、
蜂蜜からミード(蜂蜜酒)と、次々に事業分野の拡大を進められている。


INDEX

1.依頼のきっかけについて
2.養蜂へのチャレンジとBEEFRIENDSHIPの立ち上げ
3.はちみつ酒醸造へのチャレンジ
4.浅草という場に合わせたブランディング
5.クロノバデザインより

依頼のきっかけについて

─ 「BEEFRIENDSHIP 浅草店」は、完熟屋様の実店舗3店目で、すべてクロノバデザインに店舗デザインをおまかせいただいていますが、そもそも最初にご依頼いただいたきっかけは何だったのでしょう?

「日比谷OKUROJI」という商業施設にも出店していたのですが(2022年に閉店)、その出店のお誘いを受けて「出そう」と決断したときに、「店舗としてのブランドを確立したい」という思いがあったんです。それで、建築デザインのコンペサイトに条件を掲載したところ、何社かご提案をいただいて、その中でクロノバデザインさんのプレゼンテーションがいちばんよかったので、「ぜひお願いします」となりました。

─ 「いちばんよかった」というのはどんな点ですか?

立ち位置をよく理解していただいた上で、デザインしてくださった、ということですね。
我々の強みは、はちみつの生産から販売、飲食まで一貫して手がけているというところで、それが他社との競合優位性にもなっていると思うんです。そこから生まれる「産地から直接店舗に持ってきているというつながり」や「クラフト感(=職人による手作り感)」、「生産者や養蜂家」、「農業、第6次産業(=1次産業である農業が、2次産業<製造・加工業>・3次産業<販売・サービス業>にも取り組む経営形態)」といった要素を、店舗空間の中でプレゼンテーションしてほしいという要望があったんですが、クロノバデザインさんと何度か面談を重ねていく中で、それをすごくよく理解していただいているんだな、と感じられて、共感しましたね。

養蜂へのチャレンジとBEEFRIENDSHIPの立ち上げ

─ そういう経緯だったんですね。店舗デザインとは少し話題が離れてしまいますが、いまおっしゃったように「一貫して手がける」ようになったのはどういう経緯だったんでしょうか?

私の実家が愛媛県の佐田岬半島でみかん農家を営んでいて、12〜13年ほど前にみかん山から新しい品種が生えてきたんですよ。そのみかんがすごくおいしくて。
ただ、それを地元のみんなに「作ろうよ!」といっても、簡単にはいかないところがあって……JAに属している農家は、JAが推奨する品種をみんなで作っていこう、という保守的な流れがあるんですね。
そんな中で、「うちで生まれたこのおいしい品種をどうやって展開していくか」を考えた結果、私が仕事をしながらみかんのネット通販を始めたのが、完熟屋のスタートなんです。

それで、しばらくはインターネット通販と、週末にマルシェやファーマーズマーケットなどでの販売を並行していたんですが、みかんの販売時期というのは大体11月から4月くらいの半年間くらいしかないんですよね。それ以外の期間は農閑期なので、「農閑期には何か作って販売できたらいいね」という話を地元の人たちとしていました。
で、それとは別に、うちのみかん園のとなりに、ハチの巣箱をおいている方がいたんです。地元の方ではなく、50kmくらい離れたところから来てはちみつをとっていた。それをおすそ分けでもらっていたんですが、すっごくおいしかったんですね。
でも、「これ、よくよく考えたらうちの畑のみかんからとれたものじゃないか」と思って(笑)。
実は養蜂の最盛期は5月から10月までで、まさにみかんの販売時期の正反対なんですよ。
それで、「このはちみつ作りを組織としてやれば、通年での雇用創出などにながるんじゃないか」と考えて、はちみつの生産を始めたのがだいたい11〜12年前でした。

─ その養蜂家さんとの出会いがきっかけだったんですね。

そうですね、その養蜂家さんが幸いにも友好的な方で(笑)、養蜂の技術を教えてくださったんですよ。で、うちの役員のひとりが弟子入りして技術を習得して、年々はちみつの生産量が増えていくのと並行して、販路も広げていって今に至ります。

─ それで、実店舗の「BEEFRIENDSHIP」も立ち上げたと……。

「BEEFRIENDSHIP」という店名は、「ミツバチとの友好関係」という意味合いでつけたんです。ミツバチのことをもっと知ってもらいたい、と思って。
ミツバチといえば「怖い」というイメージがあって、中には見かけたらすぐ殺虫剤を撒こうとする方もいらっしゃるんですが、実は「ミツバチがいなくなったら、食卓に並ぶ食料の7割はなくなってしまう」と言われているんですよ。

─ えっ、そうなんですか⁉︎ それは受粉できなくなるということですか?

そうです、ピーマンとかいちごとかトマトとか、いろいろな野菜や果物の受粉媒体として、ミツバチはかなり貢献しているんです。それを、「BEEFRIENDSHIP」を通して知っていただきたい。
ミツバチがもたらすはちみつ、花粉、ローヤルゼリー、プロポリスなどを、みなさんが日々の生活で使っていただけるように、石鹸やスプレー、歯磨き粉などの商品開発もしていて、この浅草店では、はちみつのお酒「ミード」も店内で作るようになりました。そういった「ミツバチの恵み」を発信していく拠点として、ここと清澄白河で店舗を展開しています。

はちみつ酒醸造へのチャレンジ

─ なるほど、先ほどおっしゃっていたお店や会社の「立ち位置」がよくわかりました。で、最初は清澄白河、次に日比谷に出店されて、2022年に浅草店をオープンしたんですね。

はい、実は、最初に実店舗を出したのは浅草だったんですよ。2015年に「まるごとにっぽん」という商業施設が浅草にオープンして、そのときにお声がけいただいたのがきっかけで、5年間出店していました。
ただ、そこははちみつの瓶詰めを販売するだけの、店舗というよりは百貨店のひと区画みたいな感じだった。で、「ここで物販するだけじゃ、我々の理念は伝わらないよね」という思いがあって、そこから今の「BEEFRIENDSHIP」というブランドができあがりました。

─ それで、「また浅草で」という思いがあった、と。

そうですね、「まるごとにっぽん」では常連さんもついていたので、ある程度、「また浅草に出したら、これくらいの人が来てくれるんじゃないかな」という予測もできましたし。
それと、浅草店にははちみつ酒の醸造所を作ることにしましたが、はちみつ酒って知らない人も飲んだことがない人もたくさんいますよね。それをこのお店でこれから知っていただかないといけない。となると、世界中の多くの人が行き交う浅草という場所から発信できたら、よりビジネスの展開が早くなるんじゃないか、という期待もありました。

─ 浅草店の特色は、はちみつ酒の醸造所だということですね。

そうですね、都内にはまだミードの醸造所が他にないので。
私がドイツでホットミードをはじめて飲んで、「すごくおいしいな、これを日本に持って帰りたい」と思ったのは10年ほど前で、当時は日本でミードを作っている醸造所は1〜2軒しかなかったんです。で、ツテを頼って福岡県久留米市でぶどう農家をしながらワインを作っている「巨峰ワイン」さんにお願いしたら、うちのはちみつでミードを作ってくれることになった。

─ そのミードが、いまお店で販売されているものですよね。それとは別に、浅草店では完熟屋様自身がミードを製造する、と。

はい、ミードって「最古のお酒」とも言われていて、神話やハリー・ポッターの物語にも登場するんです。「medicine(=メディスン/薬)」の語源になったという説もあるんですよ。つまり、はちみつで作られた体にいいものなわけで、はちみつ屋のうちが手がけない理由はないですよね(笑)。
それに、やっと最近になってクラフトミードを専門に作る醸造所ができたりして、ミードが浸透してきたな、と感じるようになりました。ですからうちだけじゃなくて、(ミードにたずさわる業者が)みんなでマーケットを広げて、日本にミード文化を根づかせ発展させていけたらいいな、と思っています。

浅草という場に合わせたブランディング

─ ここは、「ミツバチの恵み」とともに、ミードを広める拠点でもあるわけですね。ところでお話が戻るんですが、浅草に3店舗目を出そうとなったときに、またクロノバデザインにご依頼いただいたのは何故ですか?

日比谷、清澄白河の改装とお願いしてきて、ブランドとしてある程度認知された、確立されたと感じていますが、それを作っていただいたのがクロノバデザインさんだったので、また同じようなことを、浅草という土地に合わせた形で実現していただけるだろうという期待を込めて(笑)、お願いしました。

▲BEE FRIEND SHIP日比谷店(2022年に閉店)


─ 浅草店は、1階がはちみつやはちみつ酒などの販売スペースとカフェスペース、2階がはちみつ酒の醸造所とジェラート製造所になっていますが、ご依頼の際には、どんなオーダーを出されましたか?

デザインの希望としては、やはり気軽に入りやすいということと、目立つようにということですね。浅草は人が多い地域であるだけに、競合も多くて、(BEEFRIENDSHIPで提供しているような)クレープもアイスクリームも食べられるところはたくさんあるじゃないですか。その中で、うちを選んでもらえるようなデザインにしてください、と。

─ その際に、店舗の外観写真を何点か参考として渡してくださったんですよね。

はい、Pinterestで見つけたイメージ写真を。ただ、基本的には今までの2店舗のデザインを踏襲して、そこにはちみつ酒の醸造所を作る、というお願いをしました。

─ デザイン的にはお任せいただきつつ、使い勝手についてはご希望が固まっていたと伺いました。厨房機器の配置やレイアウトを、エクセルに記載したものを作ってお渡しいただいたと……ご自分でレイアウトを考えたのはなぜですか?

ここ(浅草店の1階のカフェスペース)でお菓子やジェラートを作るように、マルチな機能をギュッと凝縮させたので、必要なものを組み合わせていくとそうなっちゃいました(笑)。
それと、エコロジーを考えて、閉店した日比谷店で使っていた機材の中から使えるものはをこちらで利用していただいたので、そのまま移転する機材と新しく購入する機材をまとめないといけないかな、と思って作りました。

─ できあがった店舗を見たときは、どう感じましたか?

開放感がすごい! まさにハチが迷い込んできそうなデザインになっていますよね。それにファサードが非常に目立つので、まさに期待に応えてくれたな、と感じました。

─ お客さんの反応はいかがですか?

写真を撮る人が多いです。ジェラートやクレープを手に持って撮ったり、外から中に向けて撮ったりされていて、土日は客席が足りないくらい。
「まるごとにっぽん」のお店の常連で、「これ買ってたよ」と言う方や、「日比谷が閉店したからこっちにきた」っていう方も結構多いですよ。

─ ブランドのファンが作れているんですね。

そうですね。

─ では今後、「BEEFRIENDSHIP 浅草店」をどのように展開していきたいか、教えてください。

まずはやはり、このお店がはちみつ酒「ミード」の醸造所でもあることを知っていただいて、ミードの認知度を上げていく場にしたいです。たとえば、カフェでミードとクレープのペアリングを楽しんでいただいたり、ミードのジェラートを作ったり、それから醸造所内を見学するツアーや、飲み比べといった展開もできたらいいな、と思っています。
実は、最初のミードを今日(2022年12月13日)仕込んだんですよ。これが1月末くらいにはできあがるので、そしたらここで飲んでもいただけるし、店舗やインターネットで販売もする予定です。
ここは駅からも近くてアクセス導線もいいので、ミードを飲みにふらっと来てもらえるような流れを作りたいですね。

クロノバデザインより

完熟屋様からのご依頼が、改装も含め今回で3店舗目となりました。

クラフト感を大切にしているオーナー様の想いをご依頼頂くたびにこちらも理解を深め、共感をしながら行う毎回の打ち合わせはとても楽しみで、やりがいを持って提案をさせて頂いています。
オーナー様の人柄もとても魅力的で、個人的にもお店に訪れてしまう様な良い関係を築けたことをとても嬉しく思っています。

浅草店は、地元の方に来てもらいたい、リピーターのお客様を魅了したい、というオーナー様の想いを店舗デザインで表現できたと思っています。コロナ禍も落ち着きを取り戻しつつあり、インバウンドも増え浅草の街にも活気が戻ってきているようですので、これまで以上にお客様が集まるお店になる事を願っています。

これからも「BEEFRIENDSHIP」というブランドを広げていくお手伝いをさせていただければ幸いです。

ありがとうございました。

>BEE FRIENDSHIP 完熟屋 浅草店の実績を見る

BEE FRIENDSHIP 完熟屋 浅草店

住所:〒111-0033 東京都台東区花川戸1丁目2−5
TEL:03-6257-3932
全日 11~19時
HP:http://www.kiyoshiart.com/

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