今、空間デザインのトレンドはスキンケアブランド「Aesop」やサードウェーブコーヒーの流れを生み出した「ブルーボトルコーヒー」の空間デザイン代表される、“ミニマル”デザインです。ミニマルデザインとは、余計な要素を取り除くことによってシンプルで洗練されたデザインに仕上げる手法です。ヘアサロン、アパレル、物販、カフェをはじめとする飲食業態においても、ミニマルデザインがトレンドとなっています。

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新しい商業施設に行くと、コンクリート打ちっぱなしやホワイト一色の空間に余計なものを極力見せないシンプルなデザインの店舗が多いと感じられます。
この流れは、代表的なミニマリストである故スティーブ・ジョブスのiPhoneに至るミニマルデザインが創り出し、2015年に「ミニマリスト」が流行語にノミネートされ、コーヒー界のアップルと言われた「ブルーボトルコーヒー」や「Aesop」の成功を受けて一般化したようです。
それとは別に少し前に始まったトレンドは、サーフ文化「ロンハーマン」に代表されるものであったり、さらにもう少し前10年程前から続くのは、インダストリアル感のあるブルックリンスタイルなどがあり根強い人気です。

デザインの潮流の特徴は、スタイルは同じ系統でも少しずつ洗練化していくことです。前述の「ブルックリンスタイル」や「サーフスタイル」はラフさが持ち味ですが少しづつ洗練していくことで飽きられない新鮮な印象を維持しています。

デザインのトレンドとはどのようにして生まれていくのでしょうか？

デザインの潮流を後追いするのでなく創造していこうとするのなら、世の中の潮流を正しく理解することが必要だと思います。人の意識が世の中の空気感を醸成しそれを反映したデザインが人の心を掴むというのがデザインの在り方だからです。

近年の傾向は多様な価値観を肯定し、個を尊重する社会へとなってきました。皆が同じ方向を見て、同じものを欲しがるのではなく、身の丈に合った、丁度よいモノを求めたり、少し憧れる身近な存在を目指したり、そして物質的な豊かさよりも日々の暮らしの心の豊かさへと価値観を変化させているようです。ただ、それは単純にサービスやモノを買わなくなったのではありません。

特にミレニアム世代と言われる39歳までの、今の消費を支える層は、消費傾向として抑えられるところは抑え、使うべきところには使うというメリハリがあるといわれます。使うべきところというのは、「自己実現の為の必要性」や「共感するストーリー」など心の満足感の高いモノに対してお金を使うという傾向です。それらを前提として、使われていないものを活用する「アイドルエコノミー」や
物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する「シェアリングエコノミー」と言われるような消費行動へと繋がっています。

経済的な世界的流行語として、SDGs（持続可能な開発目標）というものがあります。世界全体を見渡して限りある資源を意識し、必要なものを必要な時に必要な人に配分しようという考え方だといえます。

こういった理念がデザインに影響を及ぼします。

デザインとは、コンセプトを形に変えることです。ミニマルデザインがなぜこれほどデザインのトレンドとなりえているのかというと、まさにこういったSDGsが流行る社会背景を目に見える形にしているからと考えると理解できます。

では今後どのように新たな潮流が創られていくのかと考えるとしばらくミニマリズムのトレンドが続きそうです。それを進化させ、例えばむやみに廃材を出さない、リユースする、というコンセプトを組み合わせると古民家や廃材をアートに使うなどがより一般化していくかもしれません。

また、全く違った方向性が考えられます。そのことを考えるときには音楽やファッション、料理の世界に目を向けるといいヒントになります。例えば、エスニックな色遣いや素材、インテリアと古典的欧米のデザインを掛け合わせるとか、和の要素を掛け合わせるとか、アフリカの文化を取り込むなどが想像できます。

お店づくりのプロの視点から一言付け加えると、トレンドとは別にオーナーやスタッフの方々の好みやスタイルとお店のデザインがマッチしていることが最も重要だと思います。クロノバデザインでは、多くの経験や研究からストックしているアイデアの抽斗（ひきだし）からお客様のご要望にお答えできるデザインの提案が可能です。